クリスマスと茶の湯


「ミサ」という言葉にはどのような意味があるのか

  「ミサ」という言葉はラテン語の「missa」に由来し、もともとは「解散」という意味だったと言われています。
  それが時代とともに、ローマ・カトリック教会の礼拝式を意味するようになりました。
  司式司祭が会衆に向かってラテン語で「Ite missa est (イテ・ミサ・エスト)」と言って礼拝式の終了を告げていたことから、広く使われるようになったと言われています。このラテン語を直訳すると「礼拝式は終わります。行きなさい」となります。
 「ミサ」は第二バチカン公会議の典礼刷新以後、「感謝の祭儀」と言われるようになりました。(注-11)
「ミサ」とは、主日の礼拝式に集まった会衆が、ミサの前半の部分(ことばの典礼)でその日告げられる「神のことば」と、後半の部分(感謝の典礼)でキリストのからだを互いに分かち合うことによって、キリストと出会い力づけられて、司祭を通して世に遣わされる「派遣と励ましの言葉」なのです。
 またこの「ミサ」の語源を、『成人のキリスト教入信式』規範版から伺うこともできます。
典礼の改革に伴って入信式(洗礼・堅信・聖体の三秘跡)が刷新されました。それによれば、この新しい入信式は、(1)入門式(または入信志願式)、(2)洗礼志願式、そして(3)復活徹夜祭に洗礼を受ける、という段階を踏むことになっています。もともと古代教会で実践されていた豊かな内容を、現代社会にこたえうる真の教会づくりに生かすために、復興したものです。
 この刷新された規範版で特徴的なことは、入門式や洗礼志願式が行われた後、志願者が聖堂から退出することです。求道者にしろ洗礼志願者にしろ、「感謝の典礼」に入る前に、司式司祭から「行きなさい」と呼びかけられ退出することになっています。この呼びかけが「ミサ」missaの語源だとも言われています。
 なお、東方教会(ギリシャ正教会)でも「退出」の伝統が守られており、司祭は「啓蒙者は出よ」という言葉で呼びかけるそうです。


注-11
 
「感謝の祭儀(ミサ)は豊かな内容のものですから、一つのことばでは表現し尽くすことはできません。そのためか、歴史的に見るとミサについてたくさんの名称がありました。ギリシア語では集会の儀(シナクシス)もその一つですが、この他にも感謝の祭儀(エウカリスチア)、賛美の祭儀(エウロギア)、奉献(アナフォラ)、ささげもの(プロスフォラ)、パンをさく式(クラーシス・トゥ・アルトゥ)などで、ラテン語でも奉仕(セルビチウム、ミニステリウム)、務め(オフィチウム、ムーヌス)、ささげもの(オブラチオ)、奉献(サクリフィチウム)、信仰宣言(コンテスタチオ)などいろいろの呼び方がありました」
(土屋吉正『ミサ−その意味と歴史−』8頁、あかし書房)。

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