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不動産 筆界特定



筆界特定制度

平成17年(2005)4月6日「不動産登記法」が改正され、「第六章 筆界特定」を新設して「筆界特定制度」が創設され、平成18年(2006)1月20日より施行された。

この制度は、筆界(境界)に争いがある当事者の申立により、筆界特定登記官が筆界調査委員の調査を経て筆界を特定するというものである。

「筆界(ひっかい)」とは、「表題登記がある一筆の土地(以下単に「一筆の土地」という。)とこれに隣接する他の土地(表題登記がない土地を含む。以下同じ。)との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線をいう。」とされ、「筆界特定」とは、「一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、この章の定めるところにより、筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう。」とされている。

ただ、筆界特定は、筆界特定登記官が「過去に定められた」 もともとの筆界 (はじめに登記されたときの境界) の位置を調査して、それが現地のどこになるのかを再び特定するというもので、これにより新たに筆界を定めるものではない。

だから、新たに筆界の位置を設定するという形成的な効力はなく、また筆界の位置を確定させるための法的な効力もない。

そのため、筆界特定の結果に不満がある場合、あるいは 「公法上の境界を確定させること」 を目的とする場合には、従来どおり境界確定訴訟によることとなる。

そして、「筆界特定がされた場合において、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決が確定したときは、当該筆界特定は、当該判決と抵触する範囲において、その効力を失う。」とされていて、やっぱり境界をめぐる神学論争はなくならないのだ。

 

改正不動産登記法

第六章 筆界特定

第一節 総則

(定義)
第百二十三条 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 筆界 表題登記がある一筆の土地(以下単に「一筆の土地」という。)とこれに隣接する他の土地(表題登記がない土地を含む。以下同じ。)との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線をいう。
 二 筆界特定 一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、この章の定めるところにより、筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう。
 三 対象土地 筆界特定の対象となる筆界で相互に隣接する一筆の土地及び他の土地をいう。
 四 関係土地 対象土地以外の土地(表題登記がない土地を含む。)であって、筆界特定の対象となる筆界上の点を含む他の筆界で対象土地の一方又は双方と接するものをいう。
 五 所有権登記名義人等 所有権の登記がある一筆の土地にあっては所有権の登記名義人、所有権の登記がない一筆の土地にあっては表題部所有者、表題登記がない土地にあっては所有者をいい、所有権の登記名義人又は表題部所有者の相続人その他の一般承継人を含む。
 
(筆界特定の事務)
第百二十四条 筆界特定の事務は、対象土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局がつかさどる。
2 第六条第二項及び第三項の規定は、筆界特定の事務について準用する。この場合において、同条第二項中「不動産」とあるのは「対象土地」と、「登記所」とあるのは「法務局又は地方法務局」と、「法務局若しくは地方法務局」とあるのは「法務局」と、同条第三項中「登記所」とあるのは「法務局又は地方法務局」と読み替えるものとする。
 
(筆界特定登記官)
第百二十五条 筆界特定は、筆界特定登記官(登記官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が行う。
 
(筆界特定登記官の除斥)
第百二十六条 筆界特定登記官が次の各号のいずれかに該当する者であるときは、当該筆界特定登記官は、対象土地について筆界特定を行うことができない。
 一 対象土地又は関係土地のうちいずれかの土地の所有権の登記名義人(仮登記の登記名義人を含む。以下この号において同じ。)、表題部所有者若しくは所有者又は所有権以外の権利の登記名義人若しくは当該権利を有する者
 二 前号に掲げる者の配偶者又は四親等内の親族(配偶者又は四親等内の親族であった者を含む。次号において同じ。)
 三 第一号に掲げる者の代理人若しくは代表者(代理人又は代表者であった者を含む。)又はその配偶者若しくは四親等内の親族
 
(筆界調査委員)
第百二十七条 法務局及び地方法務局に、筆界特定について必要な事実の調査を行い、筆界特定登記官に意見を提出させるため、筆界調査委員若干人を置く。
2 筆界調査委員は、前項の職務を行うのに必要な専門的知識及び経験を有する者のうちから、法務局又は地方法務局の長が任命する。
3 筆界調査委員の任期は、二年とする。
4 筆界調査委員は、再任されることができる。
5 筆界調査委員は、非常勤とする。
 
(筆界調査委員の欠格事由)
第百二十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、筆界調査委員となることができない。
 一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
 二 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)、司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)又は土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)の規定による懲戒処分により、弁護士会からの除名又は司法書士若しくは土地家屋調査士の業務の禁止の処分を受けた者でこれらの処分を受けた日から三年を経過しないもの
 三 公務員で懲戒免職の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
2 筆界調査委員が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、当然失職する。
 
(筆界調査委員の解任)
第百二十九条 法務局又は地方法務局の長は、筆界調査委員が次の各号のいずれかに該当するときは、その筆界調査委員を解任することができる。
 一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
 二 職務上の義務違反その他筆界調査委員たるに適しない非行があると認められるとき。
 
(標準処理期間)
第百三十条 法務局又は地方法務局の長は、筆界特定の申請がされてから筆界特定登記官が筆界特定をするまでに通常要すべき標準的な期間を定め、法務局又は地方法務局における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

第二節 筆界特定の手続

第一款 筆界特定の申請

(筆界特定の申請)
第百三十一条 土地の所有権登記名義人等は、筆界特定登記官に対し、当該土地とこれに隣接する他の土地との筆界について、筆界特定の申請をすることができる。
2 筆界特定の申請は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
 一 申請の趣旨
 二 筆界特定の申請人の氏名又は名称及び住所
 三 対象土地に係る第三十四条第一項第一号及び第二号に掲げる事項(表題登記がない土地にあっては、同項第一号に掲げる事項)
 四 対象土地について筆界特定を必要とする理由
 五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
3 筆界特定の申請人は、政令で定めるところにより、手数料を納付しなければならない。
4 第十八条の規定は、筆界特定の申請について準用する。この場合において、同条中「不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)」とあるのは「第百三十一条第二項各号に掲げる事項に係る情報(第二号、第百三十二条第一項第四号及び第百五十条において「筆界特定申請情報」という。)」と、「登記所」とあるのは「法務局又は地方法務局」と、同条第二号中「申請情報」とあるのは「筆界特定申請情報」と読み替えるものとする。
 
(申請の却下)
第百三十二条 筆界特定登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、筆界特定の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、筆界特定登記官が定めた相当の期間内に、筆界特定の申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
 一 対象土地の所在地が当該申請を受けた法務局又は地方法務局の管轄に属しないとき。
 二 申請の権限を有しない者の申請によるとき。
 三 申請が前条第二項の規定に違反するとき。
 四 筆界特定申請情報の提供の方法がこの法律に基づく命令の規定により定められた方式に適合しないとき。
 五 申請が対象土地の所有権の境界の特定その他筆界特定以外の事項を目的とするものと認められるとき。
 六 対象土地の筆界について、既に民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決(訴えを不適法として却下したものを除く。第百四十八条において同じ。)が確定しているとき。
 七 対象土地の筆界について、既に筆界特定登記官による筆界特定がされているとき。ただし、対象土地について更に筆界特定をする特段の必要があると認められる場合を除く。
 八 手数料を納付しないとき。
 九 第百四十六条第五項の規定により予納を命じた場合においてその予納がないとき。
2 前項の規定による筆界特定の申請の却下は、登記官の処分とみなす。
 
(筆界特定の申請の通知)
第百三十三条 筆界特定の申請があったときは、筆界特定登記官は、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、その旨を次に掲げる者(以下「関係人」という。)に通知しなければならない。ただし、前条第一項の規定により当該申請を却下すべき場合は、この限りでない。
 一 対象土地の所有権登記名義人等であって筆界特定の申請人以外のもの
 二 関係土地の所有権登記名義人等
2 前項本文の場合において、関係人の所在が判明しないときは、同項本文の規定による通知を、関係人の氏名又は名称、通知をすべき事項及び当該事項を記載した書面をいつでも関係人に交付する旨を対象土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知が関係人に到達したものとみなす。

第二款 筆界の調査等

(筆界調査委員の指定等)
第百三十四条 法務局又は地方法務局の長は、前条第一項本文の規定による公告及び通知がされたときは、対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査を行うべき筆界調査委員を指定しなければならない。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、前項の筆界調査委員に指定することができない。
 一 対象土地又は関係土地のうちいずれかの土地の所有権の登記名義人(仮登記の登記名義人を含む。以下この号において同じ。)、表題部所有者若しくは所有者又は所有権以外の権利の登記名義人若しくは当該権利を有する者
 二 前号に掲げる者の配偶者又は四親等内の親族(配偶者又は四親等内の親族であった者を含む。次号において同じ。)
 三 第一号に掲げる者の代理人若しくは代表者(代理人又は代表者であった者を含む。)又はその配偶者若しくは四親等内の親族
3 第一項の規定による指定を受けた筆界調査委員が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、筆界特定登記官の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
4 法務局又は地方法務局の長は、その職員に、筆界調査委員による事実の調査を補助させることができる。
 
(筆界調査委員による事実の調査)
第百三十五条 筆界調査委員は、前条第一項の規定による指定を受けたときは、対象土地又は関係土地その他の土地の測量又は実地調査をすること、筆界特定の申請人若しくは関係人又はその他の者からその知っている事実を聴取し又は資料の提出を求めることその他対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査をすることができる。
2 筆界調査委員は、前項の事実の調査に当たっては、筆界特定が対象土地の所有権の境界の特定を目的とするものでないことに留意しなければならない。
 
(測量及び実地調査)
第百三十六条 筆界調査委員は、対象土地の測量又は実地調査を行うときは、あらかじめ、その旨並びにその日時及び場所を筆界特定の申請人及び関係人に通知して、これに立ち会う機会を与えなければならない。
2 第百三十三条第二項の規定は、前項の規定による通知について準用する。
 
(立入調査)
第百三十七条 法務局又は地方法務局の長は、筆界調査委員が対象土地又は関係土地その他の土地の測量又は実地調査を行う場合において、必要があると認めるときは、その必要の限度において、筆界調査委員又は第百三十四条第四項の職員(以下この条において「筆界調査委員等
 」という。)に、他人の土地に立ち入らせることができる。
2 法務局又は地方法務局の長は、前項の規定により筆界調査委員等を他人の土地に立ち入らせようとするときは、あらかじめ、その旨並びにその日時及び場所を当該土地の占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により宅地又は垣、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合には、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。
4 日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き、前項に規定する土地に立ち入ってはならない。
5 土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
6 第一項の規定による立入りをする場合には、筆界調査委員等は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
7 国は、第一項の規定による立入りによって損失を受けた者があるときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
 
(関係行政機関等に対する協力依頼)
第百三十八条 法務局又は地方法務局の長は、筆界特定のため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長又は関係のある公私の団体に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。
 
(意見又は資料の提出)
第百三十九条 筆界特定の申請があったときは、筆界特定の申請人及び関係人は、筆界特定登記官に対し、対象土地の筆界について、意見又は資料を提出することができる。この場合において、筆界特定登記官が意見又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
2 前項の規定による意見又は資料の提出は、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。)により行うことができる。
 
(意見聴取等の期日)
第百四十条 筆界特定の申請があったときは、筆界特定登記官は、第百三十三条第一項本文の規定による公告をした時から筆界特定をするまでの間に、筆界特定の申請人及び関係人に対し、あらかじめ期日及び場所を通知して、対象土地の筆界について、意見を述べ、又は資料(電磁的記録を含む。)を提出する機会を与えなければならない。
2 筆界特定登記官は、前項の期日において、適当と認める者に、参考人としてその知っている事実を陳述させることができる。
3 筆界調査委員は、第一項の期日に立ち会うものとする。この場合において、筆界調査委員は、筆界特定登記官の許可を得て、筆界特定の申請人若しくは関係人又は参考人に対し質問を発することができる。
4 筆界特定登記官は、第一項の期日の経過を記載した調書を作成し、当該調書において当該期日における筆界特定の申請人若しくは関係人又は参考人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
5 前項の調書は、電磁的記録をもって作成することができる。
6 第百三十三条第二項の規定は、第一項の規定による通知について準用する。
 
(調書等の閲覧)
第百四十一条 筆界特定の申請人及び関係人は、第百三十三条第一項本文の規定による公告があった時から第百四十四条第一項の規定により筆界特定の申請人に対する通知がされるまでの間、筆界特定登記官に対し、当該筆界特定の手続において作成された調書及び提出された資料
 (電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧を請求することができる。この場合において、筆界特定登記官は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
2 筆界特定登記官は、前項の閲覧について、日時及び場所を指定することができる。

第三節 筆界特定

(筆界調査委員の意見の提出)
第百四十二条 筆界調査委員は、第百四十条第一項の期日の後、対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査を終了したときは、遅滞なく、筆界特定登記官に対し、対象土地の筆界特定についての意見を提出しなければならない。
 
(筆界特定)
第百四十三条 筆界特定登記官は、前条の規定により筆界調査委員の意見が提出されたときは、その意見を踏まえ、登記記録、地図又は地図に準ずる図面及び登記簿の附属書類の内容、対象土地及び関係土地の地形、地目、面積及び形状並びに工作物、囲障又は境界標の有無その他の状況及びこれらの設置の経緯その他の事情を総合的に考慮して、対象土地の筆界特定をし、その結論及び理由の要旨を記載した筆界特定書を作成しなければならない。
2 筆界特定書においては、図面及び図面上の点の現地における位置を示す方法として法務省令で定めるものにより、筆界特定の内容を表示しなければならない。
3 筆界特定書は、電磁的記録をもって作成することができる。
 
(筆界特定の通知等)
第百四十四条 筆界特定登記官は、筆界特定をしたときは、遅滞なく、筆界特定の申請人に対し、筆界特定書の写しを交付する方法(筆界特定書が電磁的記録をもって作成されているときは、法務省令で定める方法)により当該筆界特定書の内容を通知するとともに、法務省令で定めるところにより、筆界特定をした旨を公告し、かつ、関係人に通知しなければならない。
2 第百三十三条第二項の規定は、前項の規定による通知について準用する。
 
(筆界特定手続記録の保管)
第百四十五条 前条第一項の規定により筆界特定の申請人に対する通知がされた場合における筆界特定の手続の記録(以下「筆界特定手続記録」という。)は、対象土地の所在地を管轄する登記所において保管する。

第四節 雑則

(手続費用の負担等)
第百四十六条 筆界特定の手続における測量に要する費用その他の法務省令で定める費用(以下この条において「手続費用」という。)は、筆界特定の申請人の負担とする。
2 筆界特定の申請人が二人ある場合において、その一人が対象土地の一方の土地の所有権登記名義人等であり、他の一人が他方の土地の所有権登記名義人等であるときは、各筆界特定の申請人は、等しい割合で手続費用を負担する。
3 筆界特定の申請人が二人以上ある場合において、その全員が対象土地の一方の土地の所有権登記名義人等であるときは、各筆界特定の申請人は、その持分(所有権の登記がある一筆の土地にあっては第五十九条第四号の持分、所有権の登記がない一筆の土地にあっては第二十七
 条第三号の持分。次項において同じ。)の割合に応じて手続費用を負担する。
4 筆界特定の申請人が三人以上ある場合において、その一人又は二人以上が対象土地の一方の土地の所有権登記名義人等であり、他の一人又は二人以上が他方の土地の所有権登記名義人等であるときは、対象土地のいずれかの土地の一人の所有権登記名義人等である筆界特定の申請人は、手続費用の二分の一に相当する額を負担し、対象土地のいずれかの土地の二人以上の所有権登記名義人等である各筆界特定の申請人は、手続費用の二分の一に相当する額についてその持分の割合に応じてこれを負担する。
5 筆界特定登記官は、筆界特定の申請人に手続費用の概算額を予納させなければならない。
 
(筆界確定訴訟における釈明処分の特則)
第百四十七条 筆界特定がされた場合において、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えが提起されたときは、裁判所は、当該訴えに係る訴訟において、訴訟関係を明瞭にするため、登記官に対し、当該筆界特定に係る筆界特定手続記録の送付を嘱託することができる。民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えが提起された後、当該訴えに係る筆界について筆界特定がされたときも、同様とする。
 
(筆界確定訴訟の判決との関係)
第百四十八条 筆界特定がされた場合において、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決が確定したときは、当該筆界特定は、当該判決と抵触する範囲において、その効力を失う。
 
(筆界特定書等の写しの交付等)
第百四十九条 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、筆界特定手続記録のうち筆界特定書又は政令で定める図面の全部又は一部(以下この条及び第百五十三条において「筆界特定書等」という。)の写し(筆界特定書等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付を請求することができる。
2 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、筆界特定手続記録(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧を請求することができる。ただし、筆界特定書等以外のものについては、請求人が利害関係を有する部分に限る。
3 第百十九条第三項及び第四項の規定は、前二項の手数料について準用する。
 
(法務省令への委任)
第百五十条 この章に定めるもののほか、筆界特定申請情報の提供の方法、筆界特定手続記録の公開その他の筆界特定の手続に関し必要な事項は、法務省令で定める。


 

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