1.
土地に関する用語
「不動産」(ふどうさん) 民法第86条による「土地及びその定着物(建物その他)」のことです。その他は、すべて「動産」(どうさん)といいます。
「土地」(とち) 地表を中心とした一定範囲の場所をいい、土地の所有権は上下におよびます。ただし、一定の鉱物と温泉は別になっています。(別の法律があります)
「定着物」(ていちゃくぶつ) 本来土地の構成物ではないが、性質上継続的に付着して用いられるものです。定着物は土地の一部として取り扱われますが、建物はそのままで独立の不動産として、また立木は「立木法」により登記をすると独立した不動産として取り扱われます。
「1筆の土地」(いっぴつのとち) 土地の個数は、1筆・2筆というように数えます。土地登記簿は1筆の土地ごとに編綴され地番がつけられています。1筆の土地を2個以上に分けることを「分筆」(ぶんぴつ)、2個以上の土地を1つにまとめることを「合筆」(ごうひつ)といいます。
「敷地」(しきち) 一般的に、建築物の占める土地をいいます。建築関係法規では、一つの建築物、または用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある「一団の土地」をいいます。
「一団の土地」(いちだんのとち) 登記簿上の筆数や地目、所有関係とは関係なく、現に一体の土地を構成しまたは一体として利用できるひとまとまりの不連続でない土地のことで、道路や河川をはさんでいる敷地は別敷地と見なされます。国土法の届出に関係します。
「更地」(さらち) 土地のうえに建物や構築物などの定着物がなく、さらに借地権などのその土地を「使用収益」することを制約する他人の権利のついてない土地をいいます。抵当権や公法上の制約があるかどうかは関係がありません。
「底地」(そこち) 「借地権」の設定してある土地の所有権、すなわち地主の権利の分をいいます。
「建付地」(たてつけち)
建物の建っているの敷地で、敷地と建物の所有者が同じで、しかもその所有者が使用している建物の敷地をいいます。「借地権」や「借家権」のついてない建物の敷地のことです。
「宅地」(たくち) 宅建業法では、建物の敷地に供せられる土地および用途地域内の土地となっており、現況に係わらず宅地化される目的で取り引きされる土地をいいます。法律によって、これとは異なる定義を用いています。
「法地」(のりち) のり面(法面)ともいい、実際に宅地として利用できない傾斜部分をいいます。
2.
権利に関する用語
「物権」(ぶっけん) 一定の「物」を直接支配し、その利益を受ける権利のことです。法律に定められた種類・内容のものに限り認められます。「債権」は債権者が債務者に一定の行為を請求しうる権利をいいますが、物権は直接他人の行為なしに支配できる権利です。その種類は、「所有権」「地上権」「永小作権」「地役権」「留置権」「先取特権」「質権」「抵当権」「占有権」などがあります。
「所有権」(しょゆうけん) 法令の範囲内で、物の使用・収益・処分をすることのできる権利です。つまり物を全面的に支配する機能で、財産権の中心的な存在です。所有者は原則として自己の自由な意思によって所有権を行使し、他の何人の干渉も受けないのが原則で、私有財産制を基礎とする資本主義社会の下で最も基本的な権利です。
ただ、この強すぎる私権が、土地は公のものでもあるという意識をなくさせていることも否めません。 現在では、この自由を制限するために、多数の法律が作られ制約をうけています。また、明治以前は、ひとつの土地に領主・自作農・小作農・入会などそれぞれの利用権が存在しており、所有権のような排他的で絶対的な権利がなく、自由な取引ができませんでした。
「共有」(きょうゆう) 所有権の中には、単独所有ではなく、複数の人が一つのものの所有権を有する場合があります。数人で土地を買ったり相続したときに共有を生じ、各人は「持分」(共有物における各人の持つ権利の割合)をもつことになります。共有者はその共有物全部について持ち分に応じて使用することができます。共有物の処分は全員で行わなければなりませんが、持分の処分は自由です。
「区分所有」(くぶんしょゆう) 1棟の建物の構造上区分された部分を独立して所有権の目的とできるようにしたものです。区分所有権の成立する建物の部分を「専有部分」、その他の部分を「共有部分」といいます。「建物の区分所有権等に関する法律」で規定されています。
「占有権」(せんゆうけん) 自分のために物を持つことを目的として、その物を使ったり利益をあげたりできる権利で、占有(物を実際に支配している状態)という事実をそのままの権利として保護したものです。
「地上権」(ちじょうけん) 他人の土地に建物などの工作物または竹木を所有するために、その土地を利用する権利のことで、「賃借権」とちがうのは、賃借権が「債権」なのに、地上権は「物権」であるということです。現実的な違いは、地上権ではお金を払うことは要件になっていないことと、賃借権は地主の承諾がなければできない、権利の「移転」「転貸」などが自由にできることです。
「永小作権」(えいこさくけん) お金を払って他人の土地で耕作または牧畜をする権利です。いったん設定すると他人に譲渡したり賃貸したりできます。耕作自体は土地の賃借権によってもできることから、現在永小作権はほとんどみられません。
「地役権」(ちえきけん) 自己の土地の便益のために他人の土地を利用する権利です。自分の土地に入るために他人の土地を通行する(通行地役権)などがあります。
「留置権」(りゅうちけん) 支払いを受けるまで、その物を引き渡さない権利のことです。
「先取特権」(さきどりとっけん)
一定種類の「債権」の「債権者」が、法律上「債務者」の財産から他の債権者より先に支払いを受けることのできる権利です。
「質権」(しちけん)
支払いを受けるまで、受け取ったものを「占有」し、支払いがないときは、その物から優先的に支払いを受ける権利をいいます。不動産を質権として留置した人はその不動産を使用収益できますが、貸したお金の利息はとれませんし、管理費用や税金などを負担することになります。現在はあまりありませんが、江戸時代には田畑を質にいれ小作になることはよくあることでした。
「抵当権」(ていとうけん) お金を貸した人が物の引渡を受けずに、その物から優先的に支払いを受ける権利をいいます。普通家を建てるときに銀行からお金を借りた場合、その建物に抵当権をつけますが、その家は自分で使っているわけです。
もし、お金が返せなくなったら、そのときに銀行は「差押」をし「競売」によってその家を売って、その代金から支払いを受けます。使わなくてもいい場合は質権を設定することになりますが、これは実際にはあまりなく、抵当権の設定が一般的です。
このように抵当権は「担保」物を引き渡さず利用しながら金融を受けることができるので担保の中でもっとも利用されています。
「担保」(たんぽ)
債務者がその債務を履行しないとき債務者に提供されて債権の弁済を確保する手段となるものです。担保が土地などの物権のときは担保物権といいます。
「債権」(さいけん) ある人(債権者)が他の人(債務者)に対して、お金を支払えとか、不動産を引き渡せなどと、一定の行為を請求できる権利で、債務者が履行しない(債務不履行・さいむふりこう)ときは、裁判所に訴えて強制的に履行(強制執行・きょうせいしっこう)してもらえる。また損害が生ずれば損害賠償の請求もできます。物権が人と物の関係であるのに対し、人と人の関係ということもできす。
債権に対応するものは「債務・さいむ」といい、債権者に対して或る「給付・きゅうふ」(物を引き渡す・何かをする、といった行為)をする義務のことです。
3.
債権の執行に関する用語
「差押」(さしおさえ) 国家が債務者の財産である特定の物にたいする処分権を取り上げることです。不動産の場合は、債権者の申立てにより、強制競売開始などの決定をし、差押をすることを宣言し、差押のあったことを公示するために差押の登記がされます。
「競売」(けいばい) 強制競売といい不動産などに対する執行方法の一つです。対象である不動産を国家が売却して金銭に替え債権に当てるものです。差押をした不動産を鑑定し最低売却価格を決め入札などの方法で最高価格で買受を申し出た人に売却して、売却代金の中から債権者に弁済金を渡し、残った金を債務者に渡します。
4.
賃貸借に関する用語
「借地権」(しゃくちけん) 建物を建てるために土地を利用する権利のことで、「地上権」と「賃借権」を総称して借地権といいます。借地権はひとつの財産権としての評価をうけています。路線価図に記載される借地権割合はこの財産権としての評価の割合を示しています。
たとえば、借地権割合70%というのは、更地価格100とし底地価格が30%、借地権価格が70%ということです。東京の商業地では借地権割合90%というのもあります。
通常借地権の設定あるいは譲渡には「権利金」の授受が行われます。
「借家権」(しゃっかけん) 建物だけ、を借りる場合の権利 借地借家法という法律に規定されます。
「賃借権」(ちんしゃくけん) 当事者の一方が、相手方にお金を払うことにより、ある物の使用や収益をすることができる権利。物を借りるのに必ずお金を払うことが要件になっています。必ずしも不動産に限りません。お金を払わないで借りるのは「使用貸借」といいます。 5.
賃借時に授受される金銭に関する用語
「権利金」(けんりきん) 直接的な法律上の規定はありませんが、借地権・借家権の設定・移転に伴い、その譲渡的・営業権的・場所的利益の対価という性格を持って支払われる金銭で慣行的に始まったもので契約終了時の返還はしません。とくに借地権は土地所有権(底地権)とは別の財産権として設定にあたっては通常更地価格の60〜90%位の金銭(権利金として)の授受されています。このような借地権は譲渡が認められ、譲渡に際しても権利金が授受されています。
「敷金」(しききん) 主として建物の賃借人が、賃料その他の賃貸借契約上の債務を担保するために賃貸人に交付される金銭をいいます。契約が終わって明け渡した後に、未払いの賃料などを引いて返還されます。利息は付きません。
「保証金」(ほしょうきん) 敷金と同様の意味をもつほか、建築協力金的な意味合いを含んでいます。一般的には解約時に10〜20%位の償却を行い、未払いの賃料などを引いて残りを返還されます。利息は付きません。
「礼金」(れいきん) 権利金的意味合いがありますが、権利金のような強い権利を嫌い、家主への謝礼金という意味合いの言葉にしたものでマンション等では一般的に使用されています。礼金は返還されません。
6.
権利の行使者に関する用語
「当事者」(とうじしゃ) 裁判所に対し、自己の名において裁判権の行使を求めることができる者とその相手方のことをいいます。必ず訴えるものと訴えられる者という対立する利害を持っていることが必要です。
「第三者」(だいさんしゃ) 一般的には「当事者」およびその「包括承継人」以外のすべてをいいます。ただし、不動産に関係して、第三者に権利を主張するために登記を「対抗要件」と定めた民法第117条について、判例その他では登記がないことを主張する正当な利益を有するものに限るとしています。
「包括承継人」(ほうかつしょうけいにん) たとえば相続人のような人をいいます。 「代理」(だいり) 本人と一定の関係にあるもの(代理人)が、本人のためにすることを示して意思表示をし、また意思表示を受けることにより、その法律効果が代理人でなく本人に帰属する制度です。
「代理人」(だいりにん) 代理権を有する者。代理人は本人に代わって意思表示をするもので、本人の意思を伝達する使者とは違います。法律に基づくものを「法定代理人」(親権者など)といい、本人の意思に基づいてなるものを「任意代理人」といいます。任意代理は、ふつう「委任」「請負」「雇用」などの契約がともないます。代理人に「委任状」が交付されるのは代理権の授与の証明のために行われます。
「委任」(いにん) 不動産の契約などの法律行為を他人にまかせることです。法律行為以外の事務をまかせることは準委任といいます。売買の仲介などは準委任とされていますが、民法上は準委任は委任の規定が準用されますので大差はありません。
7.
区分所有建物に関する用語
「区分所有建物」(くぶんしょゆうたてもの) マンションのように、1棟の建物の複数の部分が、構造上他の部分と区分され(構造上の独立性)、そのひとつの部分のみで独立して住居・店舗などの用途(利用の独立性)に使うとものは、法律上それぞれを1個の建物として取り扱うことになっています。原則として区分所有建物とその土地の権利「敷地利用権」とは分離して処分ができません。
「敷地利用権」(しきちりようけん) 区分所有法で、敷地に関して区分所有者の持っている権利のことをいいます。たとえば、所有権、地上権、賃借権など、敷地になっている土地について持っている権利のことです。
「敷地権」(しきちけん) 不動産登記法で、ある条件を備えた敷地利用権のことをいいます。それは、敷地利用権が存在していること、登記されていること、敷地利用権と区分所有建物が分離して処分できないこと(一体化の原則)です。敷地権が登記されると、建物登記簿は土地登記簿の役割をかねることとなり、土地登記簿には「敷地権たる旨の登記」がされ、建物(専有部分)について行った登記は土地に及び、土地登記簿には登記されなくなります。
「専有部分」(せんゆうぶぶん) 区分所有権の目的となるものをいいます。専有部分以外の部分で、壁・柱・廊下・階段など区分所有者の全部もしくは一部の共用に使われるものは「共用部分・きょうようぶぶん」といいます。また専有部分の面積は、一般の建物と違い壁や柱の内側(内法面積)で測ります。
8.
建築に関する用語
「RC」 鉄筋コンクリ−ト造のこと。基礎から柱・床・壁・屋根まで主要構造部をコンクリ−トで構成し、その中に鉄筋を組み入れたもので中層建築に向いている。
「SRC」 鉄筋鉄骨コンクリ−ト造のこと。鉄筋コンクリ−ト造に鉄骨を併用したもの高層建築に向いている。 「PC」 プレキャストコンクリ-ト。工場生産したコンクリ−トパネルで構造体を作る工法。
「アプロ−チ」 道路等から建物の玄関にいたる通路 「アルコ−プ」 廊下や壁面につけた凹み部分。マンションで玄関が廊下に面しないように引き込んで設けた空間。
「インテリア」 室内。室内装飾のこと。 「エクステリア」 建物以外の門・塀・庭などの敷地の空間のこと。 「エントランス」 マンションなどで正面玄関に続く空間スペ−ス
「サ−ビスル−ム」 法定の採光条件を満たさないため居室以外の納戸として認めるもの。 「グルニエ」 屋根裏部屋のこと。 「サニタリ−」 トイレ・浴室等の衛生設備のこと。
「シンク」 流し台のこと。 「スパン」 梁間。支柱から支柱までの距離をいう。 「スラブ」 コンクリ−トの床板のこと。 「スリ−ブ」 冷暖房管等の円筒形の部材を通す穴。
「ダクトスペ−ス」 換気のためのパイプ類を納めたスペ−スをいう。 「トップライト」 天窓。天井面などの部屋の上面にある窓のこと。 「ドライエリア」 地下室に接してつくる空間。法定の採光条件を満たすためにつくる。
「トランクル−ム」 マンションで住戸の外に設ける納戸。 「ド−マ」 屋根裏部屋の採光のために付ける小さな三角屋根。 「パイプスペ−ス」 給排水のためのパイプ類を納めたスペ−スをいう。
「ピロティ」 1階の吹き抜けの空間部分のこと。 「フロ−リング」 木質床材仕上げのこと。 「メゾネット」 1住居が2層となり内部を専用階段で結ぶタイプ。
「ラ−メン」 骨組みの一種で柱と梁の節点が変形しにくい剛節からなっている。現代の鉄骨・鉄筋コンクリ−ト造の骨組みは殆どこの種の構造。 「ライトコ−ト」 採光のために建物内部に設けた屋根のない中空スペ−ス。
「リホ−ム」 増改築のこと。 「ログハウス」 丸太小屋のこと。丸太・角材を重ねて壁とするもの。 「ロフト」 屋根裏のこと。
9.
その他の用語
「住宅地図」(じゅうたくちず) 地方公共団体の地図をベ−スにして航空写真で道や地形、建物配置などを確認修正し、個別に住宅を訪問して住居表示、世帯主名を調査するなどして作られた地図をいいます。都市部では、一般的に1,500分の1の縮尺です。航空写真を利用しているので「航空地図」ともいいます。住宅明細図・経済地図という人もいます。ただ地番が誤って記載されている場合もあります。
「案内図」(あんないず) 最寄り駅などから物件までの道路等の交通を略図で示したものを一般に案内図とよんでいます。一般地図を使用したものもあります。
「位置図」(いちず) 物件がどのようなところに所在するのかを一般地図などに示したものをいいます。
「所要時間」(しょようじかん)
「不動産の表示に関する公正競争規約」で、徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分を要するものとして算出した数値を表示することになっています。また一般的に、自動車の利用に関しては一般道路40q、高速道路80q平均で走行したものとして計算することが多いです。
「坪」(つぼ) 面積の単位で、1坪は3.305785u、1uは0.302500坪で換算し、小数点以下2桁まで表示し、以下は切り捨てます。つまり、1,000uは302.50坪となります。
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